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当講座の概要

信州大学医学部健康推進学講座 プロジェクト:Nagawa project 概要

長和町は、依田窪病院(三澤弘道院長)とシスメックス株式会社(家次恒社長)の協力を得て、信州大学医学部内科学第二教室(梅村武司教授)との間で寄附講座「信州大学医学部 健康推進学講座」を設置しました。

本講座の目的は?

長和町住民の皆様の健康増進を目的として、ウイルス性肝炎と肝硬変の有無について、町民ドック等の血液検査により、早期発見を行います。さらに、受診・受療を促すことで、最終的には長和町からウイルス性肝炎の撲滅を目指します。

プロジェクトの概要は?

信州大学医学部内科学第二教室、城下智准教授(長和町出身)が中心となって本プロジェクトを行います。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、自身が気づかないうちに、肝臓が線維化し、慢性肝炎→肝硬変→肝がんへと病気が進んでいることがあります。
このように慢性に進行する主な肝臓病には

  • ウイルス性肝炎(C型肝炎とB型肝炎によるもの)
  • 脂肪肝(アルコールが関与するものとアルコールの関与がないもの)

があります。

長野県における肝硬変と肝がんの成因をみると、C型肝炎が半数以上を占め、続いてB型肝炎、そして、脂肪肝と続きます。したがって、これらの肝臓病をできるだけ早期から制御することが、町民の皆様の将来の健康増進に寄与すると考えています。

ウイルス性肝炎について

日本では約50人に1人がウイルス性肝炎に関連しているとも言われています。
みなさんはウイルス性肝炎の検査を受けたことがありますか?ご自分の結果を正しく知っていますか?
日本では新規感染はほとんどないので、一度しっかりと調べれば十分です。本プロジェクトではC型肝炎とB型肝炎について血液検査で調べます

肝硬変かどうかについて

M2BPGiという血液検査で調べます
判定結果は、3段階

  • 0:異常なし
  • 1+:肝臓の線維化が始まっている可能性あり
  • 2+:肝硬変が隠れている可能性あり

隠れ肝硬変がないかどうか、調べましょう。特に、脂肪肝を放置している方で、この数値が高い場合は隠れ肝硬変の可能性があり注意が必要です。 

Q&A

Q1:いつ、どこで測定できますか?

A1:主に2つのパターンがあります。

  1. 町民ドック受診者・依田窪病院外来受診者:血液検査の残りで調べます
  2. 1以外:依田窪病院または和田診療所での直接採血(採血のための特定日については別にご案内します)

Q2:測定に関する費用は?

A2:本検査はすべて無料です。


Q3:測定結果はどのようにわかりますか?

A3:本講座に所属する医師が結果判定を行い、個別に結果を返送いたします


Q4:85歳です。後期高齢者ですが、ウイルス性肝炎検査を受ける意義はありますか?

A4:ウイルス性肝炎は血液を介してうつる病気です。

したがって、例えば、感染者が足元につまずいて転んで出血した際に、家人が手当をするような場合は注意が必要です。事前にウイルス性肝炎の有無を知っておくことは家人を守ることにもなります。


Q5:ウイルス性肝炎陽性が判明し、治療が必要になった場合の医療費は?

A5:ウイルス性肝炎の治療には医療費助成制度があり、治療を受ける方みなさんがこの制度を受けることができます。


Q6:C型肝炎ウイルスが陽性でした。治療効果は?

A6:飲み薬治療(最短8週間)で98%以上ウイルス排除が得られます。

また、副作用もほぼありません。年齢の制限はなく、長野県では90歳の症例が治療を受けましたが、副作用もなく、ウイルス排除に至っています。C型肝炎ウイルスが排除されるとみなさん体調は良くなります。


Q7:B型肝炎ウイルスが陽性でした。治療効果は?

A7:現代の医療ではB型肝炎ウイルスを完全に消すことはできません。しかしながら、飲み薬治療でウイルス制御ができる時代です。


Q8:他臓器のがんを患っています。B型肝炎ウイルス陽性でした。注意することは?

A8:B型肝炎ウイルスは一度体に入ると、肝臓の細胞の中に隠れ潜んでいることが明らかになっています。

国民の半数が「がん」になる時代であり、誰もが生涯に「がん」の治療を受ける可能性があります。抗がん剤治療など免疫抑制時には、潜んでいたウイルスが出てくることがあり(再活性化という)、注意が必要です。B型肝炎ウイルスの感染の有無を調べておくことはとても大切です。